紹介
中国河北省承德市滦平県にある金山嶺(きんざんれい)の長城は、明代の長城の中でも特に保存状態が良く、歴史的な価値が高いとされています。この長城は約10.5キロにわたり、一部は修復されていますが、未修復の部分も残されており、「野生の長城」と呼ばれるオリジナルの姿を楽しむことができます。こうした部分を通じて、昔の軍事施設の実際の姿を実感できます。また、東五眼楼の外まで行けば、自然のままの長城を見ることができ、よりリアルな体験を味わえます。そして1987年には、ユネスコの世界遺産に登録されました。
金山嶺長城の歴史とその意義
金山嶺(きんざんれい)の長城の建設は、明の洪武元年(1368年)に始まりました。隆慶元年(1567年)には、抗倭名将であり冀鎮総兵官の戚継光(せき・けいこう)がこの長城をさらに増築・改良し、万里の長城の中でも最も構造が複雑で、見張り台が密集している区間にしました。それは燕山山脈に横たわり、東側では司馬台の長城と、西側では古北口の長城とつながっており、明代万里の長城の重要な一部です。
この長城は、戚継光が提唱した「地形に応じて、危険を利用し要害を固める」という原則に基づいて建設され、山の起伏に沿って築かれています。高低差のある設計により、迫力ある景観を演出しています。他の長城と比べても、金山嶺はその精巧な建築美と整備された軍事防衛システムで知られています。
金山嶺の長城の主な目的は、北方の蒙古部族による明朝領土、特に首都北京への侵攻を防ぐことでした。しかし、歴史的な記録では、この長城が直接大規模な戦争に参加したことは明確に示されていません。
独特的な建築的特徴
見張り台
金山嶺の長城には密集した敵楼が配置されており、それぞれ独自のデザインを持っています。各敵楼には特定の機能があり、煙信号や太鼓の音で情報を伝達するものもあれば、防衛拠点や武器・資材の保管場所として使われていたものもあります。これらの敵楼は大きさや形がさまざまで、多くは明代の技術を反映する精巧な彫刻が施されています。
防御壁
金山嶺の障墙は巧妙に設計されており、通常は主壁の内側または外側に設置されています。これにより、複数の防衛ラインが形成され、敵の攻撃を効果的に阻止します。この設計は長城の防衛能力を大幅に向上させています。
城壁の煉瓦工法
金山嶺の長城に使用された煉瓦は堅牢で、表面には特徴的な質感があります。この技法は煉瓦の耐久性を高めるだけでなく、美しさも加えています。すべての煉瓦は慎重に焼成され、長城の安定性と長寿命を確保しています。さらに、一部の煉瓦には建設年や職人の名前などが記された文字やシンボルが刻まれており、歴史研究の貴重な資料となっています。
これらのユニークな建築的特徴により、金山嶺の長城は万里の長城の中でも最も代表的な区間の一つとなっています。
交通
どのように到着するか
公共交通機関
北京の東直門から980快速バスに乗り、密雲少年宮まで行き、そこから地元のバスに乗り換えて観光地へ向かいます。所要時間は約3時間で。
観光専用バス
北京から858路のバスに乗り、滦平県(ルンピン)の旅客ハブ駅まで行き、その後観光専用バスに乗り換えます。所要時間は約2.5時間で、途中での乗り換えが必要です。
チャーター車サービス
旅行社が提供するチャーター車サービスを利用する方法があります。片道約2時間で、費用は約500元かかりますが、団体旅行者におすすめです。